「残業も資料も要らないから結果だけ下さい。」っていう会社でやっていけますか?

悩み

Sponsored Link

先月「労働時間の規制は労働者にとって良いことばかりではない」っていう記事を書きましたが、働き方改革が労働者にとってどのような影響をもたらすのか、もう少し深く考えてみたいと思います。

働き方改革(残業削減)を推進する経営者

働き方改革を推進している経営者と言えば最近ではカルビーの松本晃会長や日本電産の永守重信会長を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。松本会長は雑誌やテレビに盛んに登場し残業削減やダイバーシティの推進に熱弁を振るっています。永守会長も記者発表で事あるごとに働き方改革を話題にしています。

業績は?

両社の業績はどうなのでしょうか。両社の5年間の売上高、営業利益、純利益は以下のグラフの通りです。

カルビー
日本電産
*GMOクリック証券より

両社とも業績は右肩上がりとなっています。2012年からアベノミクス効果もあり多くの企業の業績が改善しているので、この2社だけが特別ではありませんが、素晴らしい業績を上げている企業と言ってもいいでしょう。

特にカルビーは5期連続増収増益*。営業利益率は12年には7.5%だったのが16年度には11.4%にまで改善しています。経済産業省の資料によると食品製造業の業界平均営業利益率は2.5%(平成26年度)なのでカルビーが如何に高い利益率を出しているかわかるでしょう。
*株式上場後の業績を拾ったため5期連続としましたが、実際には松本会長が就任してから7期連続の増収増益です。

次に人件費を見てみましょう。決算説明会の資料によると2011年度の人件費は14,536百万円で売上高に占める割合は9.3%です。それが2016年度になると17,752百万円で同割合は7.2%に低下しています。売上高が約150%伸長しているのに人件費は122%にしかなっていません。

残業削減は基本的に人件費削減の為

生産性高く働ける環境を築くためにまず僕がやったことは、改革の下支えとなる制度を整えることでした。カルビーでは、会社に来て仕事をする必要はありません。成果さえ出せばどこで仕事をしても良いことにしています。『仕事が終わったなら帰れ』といって、15時でも、14時でも、好きな時間に帰れるようにしました。

会議なし、資料なし、会社に来る必要なし!/カルビー松本会長「ダイバーシティーが嫌いな会社に未来はない」働く女のワーク&ライフマガジンWoman typeより

「仕事が終わったらいつでも帰っていい!」というトップは、上司が帰るまで帰れないなんていう理不尽極まりない古い体質の会社に勤めている人にとっては神様のような存在でしょう。もちろん従業員のモチベーションアップや自己研鑽の時間を確保し多様な能力を身につけさせるという目的もあるでしょう。

ただ、綺麗ごとをいくら言っても結局残業を削減する目的は人件費の削減です。松本会長は内部からのし上がったプロパー経営者ではありません。プロ経営者です。プロ経営者としては従業員の生活も考慮はしなくてはいけませんが、第一は業績です。業績がすべてと言っても過言ではありません。決して残業ばかりしている従業員が可哀そうという思いで働き方の改革に取り組んでいる訳ではないことを理解しておいた方がいいでしょう。

でも残業ないって楽じゃん

上の引用文をもう一度見て下さい。残業地獄に苦しんでいる方は都合の良いことしか見えないかもしれませんが、『成果さえ出せば』という条件がついていることに注意して下さい。

松本会長は社員にコミットメント(必達目標)とアカウンタビリティ(結果責任)を強く求めています。2016年度は7期連続増益にも関わらず会社計画営業利益が未達だったとして自らを含めた役員の報酬を減額しています。末端の社員まで賞与削減されることは無いでしょうが、おそらく自分で設定した目標に対しての結果への評価は厳しいはずです。

とにかく結果を出さなくてはならないのです。それも「残業なしで」という縛りの中で。無駄な資料を作ったり、結論の出ない会議を延々と続けているような会社の社員がカルビーに転職したらやっていけるでしょうか?

はっきり言って、上司からの指示のもとに無駄な資料や会議をダラダラやって遅くまで残業してる方が楽です。時間の制限がある中で「成果を出す」仕事をするというのは大変です。

決断を先送りすることもできません。自分の業務の効率化を考えないといけません。そして「成果」を出すために何をするかを自分で考えなくてはいけません。これは本来の(ホワイトカラーの)仕事のあるべき姿なのですが、大半の大企業ではそうなっていないのではないでしょうか。

俺はパソコンが苦手だなどと言って遅くまで残業して会議資料を作っている人、部下に自分が会議で怒られないためだけの資料を作らせて、結局使わずにごみ箱に捨てている部長、真面目で上司の言うことに素直に従うが自分で成果を出すための行動を起こせない人は、このような会社では必要ありません。

みなさん、こんな会社でやっていく自信ありますか?

ネットでの松本会長の評価は上々です。「神!」だとか「こんな経営者が増えて欲しい!」なんてコメントもよく目にします。ぼくはカルビーの社員でもないし知り合いが居る訳でもないので説得力はないかもしれませんが、そんなこと言ってる人は松本会長には付いて行けないでしょう。

みなさん、こんな会社でやっていく自信ありますか?正直、僕も今まで上記のような古い体質の会社でダラダラと仕事してきた人間なのであまり自信がありません。

「俺は今の会社にずっと勤めるつもりだから関係ないや」と思っていても、いつこのような経営者が会社のトップになるかわかりません。カルビーの旧来の社員もそう思っていたかもしれません。

自分で「目標」とそれを達成するための「仮説・戦略」を立て、それを着実に「実行」して問題点を「改善」していく。

このPDCAのプロセスを自分で回すことのできる人でないと、このような会社では生き残れないでしょう。

松本会長のような経営者が増えて欲しいと思う。

それでも僕は松本会長のような経営者が増えて欲しいと思っています。残業しなくていいとかそういうレベルの話ではありません。旧態依然とした企業を変えていくためには、松本会長のような経営者が結果を残し、それを積極的にアピールしていくことが必要です。

付き合い残業とか発言権もないのに会議に出席させるとか、そんなことやってたら成果なんて上がりません。僕もそれが嫌になって会社を辞めることにしました。

そんなことをしている会社や管理職を撲滅し、正当に仕事をして結果を残した人が評価されるようになるためにも松本会長のような経営者が増えて欲しいと思っています。