「営業」って嫌な仕事のイメージあるけど、本当のところはどうなの?

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僕は今の会社に入社以来、10年以上ずっと営業一筋でやってきました。

学生や営業経験のない方の話を聞いているとイメージばかりが先行していて(特に悪いイメージ)、実態とかけ離れていると感じることも多くあります。

僕の狭い範囲の経験ではありますが、このエントリーを読んで就職活動中の方で営業を志望している人、今後営業をやってみたいと思っている人、また営業の仕事を勘違いしている方に営業の仕事の実態が分かってもらえればと思い書いてみました。

少し長いですが、営業という仕事の一面だけでもわかって頂ければと思います。

僕のやっている仕事

僕はいま、食品原材料の営業をやっています。具体的な素材名まで言うと特定されても困るのでご勘弁願いたいですが、様々な加工食品を作るのに無くてはならない素材の営業をしています。

お客さんは大手、中堅の食品メーカーや小規模なお店に卸す販売代理店です。完全にBtoBです。

営業所は全国5か所と海外(中国、ヨーロッパ、東南アジア)にあります。僕は国内の支店・営業所しか勤務経験はありません。基本的には担当先が決まっていますが、既存先だけでは伸びないので新規開拓も常に行っています。

商談相手は主にユーザーの研究・開発員や購買担当者です。営業スタイルは「提案営業」と呼ばれるスタイルです。素材だけ持って行ってもイメージが湧かないのでお客さんの最終商品まで仕上げて提案します。そうやって既存品と比較した「コストの安さ」「品質の良さ」「ハンドリングの良さ」などをアピールして採用に繋げていきます。

お客さんの課題を正確に捉えて、的確な提案を行わないと採用にはなりません。あらかじめ決められた商品を単純に勧める営業スタイルとは違います。

例えばお客さんが「コンビニからこういう食感を持った製品を提案して欲しいと言われているが、どうしても実現できない。」という課題に対して自社製品を用いて応用品を試作し提案します。そしてその自社製品の効果が認められて課題が解決できれば「これいいね!」となり採用へと繋がっていきます。(もちろんそこから価格や具体的なスペック等の交渉が始まるので、「いいね!」となってもまだ五合目くらいです。

ただ単に自社製品を売り込むだけでは採用にはほとんど至りません。具体的な「課題解決策」を提示することが採用の為には重要になってきます。

よく聞かれる疑問

営業やったことないの人によく聞かれる質問に対する僕なりの回答をまとめてみます。

接待ってあるの?

接待と言っても飲み、ゴルフ、麻雀など色んなバリエーションがあります。基本的には何かしらはあると思った方がいいでしょう。部長以上にもなれば毎晩会食で土曜はゴルフみたいなことも覚悟しなくてはいけません。

ただ、最近は交際費も昔のように湯水のようには使えなくなってますし、会社によっては接待を受けることを禁止している会社もあります。また昔は接待をすれば「お前には世話になったからこれだけ買ってやる!」みたいなことがありましたが、今はそんなケースはレアですしこれからも減っていくでしょう。

酒が飲めないことを不安に思う方もいると思いますが酒飲めない営業マンは沢山います。僕も酒はあまり飲めません。

ただし「酒飲めない」「ゴルフできない」「麻雀できない」とできない尽くしだと厳しいです。接待で売上がすぐに上がるわけではありませんが、お客さんとコミュニケーションを深めたり人脈を広げるためには非常に有効です。何か一つでもいいので自分の得意な接待の形を持つことは必要でしょう。

ちなみに僕は酒の代わりにゴルフを練習し80台で回れるようになりました。悪いイメージのあるゴルフ接待ですが上手くさえなっちゃえば一番楽です。ゴルフが上手だと上級職の人達に誘ってもらえる機会も増えるので社外だけでなく社内での人脈作りにも役立ちます。

ゴルフや麻雀は食わず嫌いになってしまう人も多いのですが、できるようになって損することは少ないです。頑張って練習しましょう。

それ以外でも趣味の話題でお客さんと意気投合して仲良くなるなんてこともあります。好奇心旺盛で幅広いことに興味をもっている人は営業向きだと思います。

コミュニケーション能力が高くないとダメ?

たまに人事に頼まれて内定者の面談をする事がありますが、その時に自己紹介を兼ねた内定者のPRタイムのようなものがあります。

そのときに内定者がよく言うのが「コミュニケーション力(コミュ力)には自信があります!」です。僕のようにコミュ障ぎみの人間はこういう言葉を聞くと嫌味な言葉を投げかけたくなります。

「コミュニケーション力の定義って何?」

営業に限ったことではありませんが、仕事で必要なコミュ力って明るくて人気者ですぐに人と打ち解けられる力ではありません。他人の言ったことを正しく理解し、それを正確に具体的に伝えることができる能力です。

「コミュニケーション力」なんていう抽象的な言葉を安易に使ってしまう人は危険です。自分と相手で言葉の定義が異なっていると話が噛み合いません。抽象的な言葉ばかりを喋る人、また相手のそのような言葉に対して嚙み砕いて質問しない人は高い確率で後でトラブルを起こします。

もちろん、すぐに人と仲良くなれるという能力は得をする部分もありますが成果を出している営業マンが必ずしもそんなタイプではありません。おちゃらけてるだけでは信頼を得られません。

正確なコミュニケーション(意思伝達)を取れることが最優先なのです。そういう定義での「コミュニケーション能力」は必須です。

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ノルマってあるの?

ノルマと言っていいかは分かりませんが、何かしらの数字目標は持たされるもしくは自己申告する場合がほとんどでしょう。何の数値目標もない営業マンは少ないと思います。

営業マンの評価は結局は数字です。与えられた数字を達成できるかどうかが評価のすべてだと言っても差支えありません。重厚長大産業のように結果が出るまでに多大な時間がかかる場合はプロセスでの評価もあり得ますが、1年以内のサイクルの取引や商品の場合はほぼ数字で評価されると考えた方がよいでしょう。数字をやってナンボの世界です。漫画にありがちな社内にグラフが張り出されて叱咤激励を受けるなんてことはまではありませんが、他の営業担当者と成績の比較をされることは当然あります。

余談ですが、東芝で「チャレンジ」が話題になりました。役員が月末に「あと3日で利益○○万円積んで来い!」などと指示して循環取引や会計操作で利益を水増ししていたということです。ここまで悪質なケースはレアだとと思いますが、似たようなことは他の会社でも行われていると思います。僕の会社でも月間の数字が悪いと月末に「押し込み」と呼ばれる作業をすることがあります。

「押し込み」とはお客さんに頼んで月内の売上となるように仕入を早めてもらい売上を積むことです(もちろん伝票操作等はやりませんが)。「あと○○ケース頼んで来い!」なんて新人の頃は良く言われました。ただの需要の先食いでしかないので無意味な作業だと僕は思いますが、これやってる会社はいまだに沢山あります。昔ほどじゃないですが、うちでも今も時々指示されることがあります。「押し込み」を毎月末やってるような会社は先が長くないのですぐに転職した方がいいでしょう。

残業とか休日出勤とかあるの?有給は取りやすい?

これは業種によるとしか言えません。ただ、仕事できる営業マンほど次々と仕事が舞い込むので勤務時間は長くなりがちです。ダメ営業マンは仕事が無くなっていくので早く帰れます。

営業は基本外勤なのであまり「定時」という概念がそぐいません。

有給は取れますが、最近はお客さんからの連絡も携帯に直接くることがほとんどなので休んでも休んだ気になりません。お客さんが土日も稼働(営業)しているような業態では土日でも平気で携帯に連絡が来ます(僕もそうです)。
逆に考えると携帯があれば仕事ができてしまうのであれば、さっさと帰宅して家で仕事することもできます(裁量労働であれば)。

接待なども仕事と考えるとトータルの勤務時間は長いと考えた方がよいでしょう。

営業をする上で必要な能力は?

具体的な知識やスキルは業種・業態ごとに違うため明確には言えませんが、絶対に必要なのは「信頼残高」です。

「信頼残高」とはスティーブン・コヴィー博士の「7つの習慣」の中に書かれている相互の信頼を高めるために必要な概念です。

銀行口座がどういうものであるかは、誰でも知っているだろう。口座にお金を預け入れることで貯えができ、必要に応じてそこから引き出すことができる。それと同じように、信頼口座つまり信頼残高とは、ある関係において築かれた信頼のレベルを表す比喩表現であり、言い換えれば、その人に接する安心感ともいえるだろう。

~中略~

残高を高めることによって、必要とあらば、その信頼を何度でも頼りにすることができる。些細な間違いを犯しても、信頼のレベルや精神的な貯えがそれを補ってくれる。こちらのコミュニケーションが多少不明瞭でもこちらの言いたいことを汲み取ってくれるだろうし、言葉ひとつで気を悪くするようなこともないだろう。信頼残高が高ければ、コミュニケーションは簡単で、効果的で、即時にできるものである。

スティーブン・R・コヴィー著 「7つの習慣」 より引用

当然ですが、他人に(お客さんから)仕事を頼む(頼まれる)ためには自分に信用がないといけません。普段から口だけ達者だったり嘘ばかりついていると誰も信頼して仕事を請け負って(任せて)くれません。

信頼度の「残高」は礼儀正しい行動や約束を守ることで増えていき、逆に嘘をついたり礼儀知らずな行動をとれば減っていきます。そして残高が尽きると誰も信頼してくれなくなるということです。

なぜ「信頼残高」が重要か

営業の仕事はとにかく多くの人を巻き込んでいかなくてはいけません。お客さんはもちろんのこと社内各部署(開発、工場、購買、企画etc..)や仕入先など、仕事をスムーズに進めるためには多方面から信頼を得られている必要があります。

まず、お客さん(買い手)の側から見てみましょう。

買い手から見て物やサービスの購買決定要因(KBF)は基本的には「価格が安い」「品質が向上する」「業務が効率化する」などの経済合理性に基づくものになります。

それだけ考えると営業マンの資質なんて関係ないと思うかもしれません。ただ実際は商品やサービスを購入した後にもアフターフォローをしてもらうことは必要です(特にBtoBの場合)。またいくらビジネスと言っても、やはり嫌いな人からは買いたくないと思うのが人間です。ビジネスだからといって必ず合理的に判断(品質や技術で)されるとは思わない方がいいです。営業マンの資質も現実にはKBFに含まれています。

そもそも信頼残高のない営業マンに対しては、自社の重要な購買案件を話すこともないでしょう。信頼残高がないと門前払いになってしまいます。

社内の場合も同じです。

他の部署に仕事を頼む時、頼まれる側が多くの仕事を抱えている場面を想定してみましょう。

同程度の重要性の案件が重なっている場合、どの仕事(誰の仕事)が優先されるでしょうか。それは信頼残高の高い人の仕事です。

「この人の仕事を過去にやったときは最後まで頑張ってものにしてくれた。だから今回も協力しよう!」となるか、「こいつに頼まれた仕事やったけど、情報が嘘ばっかりで振り回されたし何の結果報告も無かった。もう次からあいつの仕事は受けない!」となるかの違いです。

信頼残高のない営業マンは本当に仕事が進まなくなります。

どうやったら信頼残高を高められるか

信頼残高を高める方法は単純です。誠実にマジメにコツコツ頑張ることです。これだけで間違いなく各方面からの信頼残高が高まります。

なんでもないときは難しくないのです。でも営業には数字のプレッシャーがあります。このプレッシャーの中で「誠実に」頑張るということは意外と難しいのです。数字を達成するためにお客さんに対して押し売りまがいなことをしてしまったり、社内に無理な要求を突きつけ、できないと責任を押し付けたりしてしまうのです。

信頼残高の尽きた人間は強権を発動して他人を動かそうとします。そうしないと誰も動いてくれないからです。

大抵、パワハラ上司(と呼ばれてしまう人)は信頼残高がゼロになっています。自分でも残高が無いことを無意識に自覚しているので恫喝したり強権を発動したりしないと自分の主張が通らないとわかっているのです。強引な手法で自分の地位を高めないと誰も言うことを聞かないからパワハラ行為を行ってしまうのです。

プレッシャーの中でも他人への敬意を失わず、冷静に主張すべきことは主張する人は信頼残高を高めていくことができます。と言うだけなら簡単ですが実行するのは本当に難しいですけどね。。。僕も日々反省の毎日です。

営業になることをおススメするか?

やりたいことが明確ならそれに突き進めばいいと思いますが、もし何をやったらいいか分からないというのであれば、是非一度は営業に手を上げて欲しいと思います。

僕が営業をやってよかったと思う理由は

  1. 会社の最前線で仕事をすることができるので、ビジネスの実態を知ることができる
  2. 対人交渉に自信がつく
  3. 自分のやった仕事が明確にわかりやすく喜びを実感できる

この3つが大きな理由です。

もちろん理不尽なことや辛いこともとても多いのですが、物が売れてそれが世の中に形となって出た時の喜びは何者にも代えがたいものがあります。自分の関わった商品がスーパーやコンビニの棚に並んでいるのを見るのはエキサイティングで爽快です。

自分は営業には向いていないなんて安易に考えないで、是非とも一度はチャレンジして欲しいと思います。もちろん打ちのめされてショックで自己嫌悪に陥ることもあることは否定できませんが。

なお、本稿は僕の経験をベースに主観的に書いています。最初にも書いた通り「営業」と一口に言っても業種・業態でその実態は様々です。これから就職活動を行う人で営業に興味のある人は是非色々な業態の人の話を聞いて情報を集め、どのスタイルが自分に合っているのか、自分の能力を伸ばすためにはどこに行けばいいのかをよく考えてみて下さい。

そしてあまり「営業」という抽象的なイメージにとらわれることなく、積極的にチャレンジして欲しいと思います。